「分別ざかり」の第二部。
どんどんと追い詰められてゆくマチウ。
いっそ堕胎を諦めて結婚しようかと思いながら、金策を続け、更にはイヴィックの方に気持ちはふらふら。読んでいてイライラすることこの上ない。
マルセルの本当の思いに気が付かないというよりも、はなから向き合おうともしないまま金策に明け暮れている。
そのマチウと対照的に映ったのがダニエル。
子供を産みたいというマルセルの本音を引き出し、最後には彼女との結婚を決めてしまう。そこにあるのはマチウへの復讐の念と、同性愛者であるという苦悩。
前作ではサディスティックでミステリアスな印象が強かったダニエルだが、後編では一転、決して善いことをしようと思っているわけではないのに喜ばれてしまう、まさに「大天使」だ。
マルセルを捨てたマチウは結局、自由になったのだろうか。結婚を選んだダニエルは自由になったのだろうか。
戦争前夜のパリを舞台にここまで詳細な堕胎をめぐる物語を描いた理由は何なのだろうか。
この先を読み進めれば、その意味も分かってくるのだろうか。
これまでの感想 第一巻