「日本探検」梅棹忠夫
講談社学術文庫
2014
文明論的紀行を書くという趣旨のもと、1959年から中央公論に連載された「日本探検」。
論考は大きく分けて福山、綾部、北海道、高崎山。
福山の旅では地方と中央との関係に思いを馳せる。
綾部は大本教発祥の地。エスペラントを軸として、世界宗教として各国の宗教との類似性の指摘は興味深い。
根釧パイロットファームを見に行った著者が提案するのは北海道の同質、分離。
戦後、最北端の開拓地とならざるを得なかった北海道。開拓をすることが北海道の存在意義のようになってしまっている状況と、都市部を中心に進む本州との同質化。これが北海道の進むべき道なのかと疑問を投げかけている。
高崎山などは日本の猿研究の歴史を記録しようとしたもので、興味深い。猿の餌付けをはじめとするユニークな学者たちのエピソードは読んでいるだけで面白い。
出来ることなら、もっと多くの旅をして紀行シリーズとして実現して欲しかった。
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