yuyuの備忘録

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「フランス革命の代償」ルネ・セディヨ

山崎耕一訳
草思社文庫
2023

著者、ルネ・セディヨは経済雑誌La vie Françaiseの編集長を長く務めた人物。
客観的にフランス革命がプラスだったのかマイナスだったのか、収支決算すると冒頭に書かれているが、歴史を決算するなどそう簡単に出来るものではない。
本書がどういう立場で書かれたのか、訳者あとがきに簡潔にまとめられている。

本書で彼が主張しているのは、要するに、「アンシャン・レジーム末期からエリート官僚によって近代化が試みられており、その多くは成功していた。それなのにフランス革命が穏和な改革を中断し、科学者など知的エリートの役割を認めず、社会に混乱をもたらしたため、革命と帝政の四半世紀が終わったときにフランスはあらゆる面でイギリスに水を開けられていたのだ」ということである。

第一部で人口要因、第二部で経済要因と大きく分析がされている。
一般向けの書と言いつつ、革命から王政までの歴史に詳しくなければ読み進めるのは難しい。
人口要因の部分で描かれる人々の熱狂する様子と行き過ぎた人々の行動、そしてそれらとは関係なく変わらない暮らしを送る人々の描写は興味深かった。

我ながらよく最後まで読み切ったものだと思う。