yuyuの備忘録

読書記録、ときどき海外ドラマ。

「八月の御所グラウンド」万城目学

文藝春秋
2023

鴨川ホルモー以来、16年ぶりに万城目学が京都を舞台に書いたという。
収録されているのは短編2作、「十二月の都大路上下ル」と「八月の御所グラウンド」だ。

感想を一言でいえば、これを万城目学が書く必要があったのかということ。
けれど、2作ともだが、こういうちょっと心温まるような短編ストーリーで良いのだろうか。

年齢やその時の気分によって、書きたいものは変わってくるのだろう。でも、その作家だと分かるような根底に流れている共通のイメージというか世界観はあって欲しい。
八月の御所グラウンドに関していえば決して悪くはない。でも、その作家らしさが、沢村栄治というのだけではちょっと弱かったと思う。

「ひとこぶらくだ層ぜっと」で久々に彼の世界観を楽しませてもらい、またこういう作品が読めるのかと期待したぶん、残念だった。